はじめに
レゾナント・コミュニケーションは共感型コミュニケーションです。
共感型ということで重視するのは論理よりも感情です。
レゾナントを意識するようになって、私自身、自分の心や感情が動いた瞬間やその背景にあるものを以前より意識して観察するようになりました。
たとえば、最近心を動かされた出来事と言えば日米における政治潮流の大きな変化があります。
とりわけ日米の政治世界で、これまで厚い雲のように覆っていた閉塞感が払拭される方向に動き出しています。
オバマ大統領の誕生
ご存じのように先に動きが起きたのはアメリカでした。アフリカ系初のオバマ大統領の誕生。
今、オバマ大統領はアメリカの国民健康保険制度をめぐって、まさに戦っています。
マイケル・ムーア監督の映画『Sicko』 (2007年)を見た人はよくご存じだと思いますが、アメリカの健康・医療保険制度は崩壊状態にあります。
photo by Flipped Out
端的に言って、アメリカは金持ちしか健康保険に加入できない状況になっています。保険に加入できないせいで、医療サービスを受けられない人々がかなりの割合にのぼると言われています。
また、健康保険に加入できても、いざという時にさまざまな理由を挙げ、民間の保険会社は医療保険の支払いを渋ったり、文字通り不払いにするケースも少なくないようです。
そうした状況を打破しようと、オバマ大統領は戦っています。
共和党や民間の保険会社によるテレビCMを使ったネガティブ・キャンペーンにより支持率が急落したものの、ひるむ様子はありません。
反対派に理解を求める異例の議会演説を行うなどして、今も奮闘中です。同時代にこんな政治家の姿が見れることに素直に感動しました。
民主党政権の発足
一方、ご存じのように日本の政治の世界でも大きな変化が起こりました。民主党政権の発足です。
photo by chashu3
選挙権を取得して以来、ずっと非自民に投票してきた人間として個人的に感慨深いものがありました。
一方、ながらく自民党主導ののらりくらりとした政権運営に慣らされてきた一人の国民として、民主党になってもさほど大きく変わらないだろう、という気持ちも正直なところありました。自民党に任せておくよりは多少ましになるだろうとくらいの期待度だったかもしれません。
しかし、その予想はいい意味で裏切られました。選挙公約であるマニフェストの実現に想像していた以上に早い段階から邁進する姿勢が見て取れるからです。今までの政治感覚からすると圧倒的なスピード感です。
もしかすると、政治の地殻変動はアメリカより日本の方が大きくなるのではないかと期待させられます。
なぜなら、アメリカはオバマ大統領が孤軍奮闘している側面が強い。
一方、日本の民主党を中心とした政権は一つの目標(マニフェストの実現)に向かって今のところ全員野球を展開する姿勢を見せているからです。
新政権のレゾナント・コミュニケーション
相手の予測や期待以上の動きをすることで、驚きや感動をそれによる期待や共感が広がっています。現在、約70%という支持率がそれを物語っています。その点で新政権のレゾナント・コミュニケーションは現在のところ機能していると言えます。
また国のリーダーである政治家たち引き締まった真剣な面持ちできびきびと動いている姿というのは、それを見ている国民にとってもいい刺激になるのではないでしょうか。
新政権の動き、これからも注目していきたいと思います。
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