広報・PR vs 広告
広報・PR関係の本を読んでいると、広報・PRはすばらしいが、広告は駄目、効かない、結果を出せない、といった論調のものが多いと言えます。
広報・PR VS 広告という対立構図が強調されがちになります。
僕自身、雑誌連載の中で似た主張の文章を最近書いたばかりでした。
この本のタイトルでもある【戦略的パブリシティ】」は次のように定義づけられています。
ブランドをより短期間の内に低コストで立ち上げるために、信憑性の高いニュースとして消費者に認知させるコミュニケーションの手法(P3)
したがって、基本的には、広報・PR寄りの視点。
しかしながら、「広報・PR」と「広告」を対立軸でとらえず、場面や必要に応じて「広報・PR」と「広告」をうまく使い分けていきましょうという視点がきわめて新鮮な内容。
広報・PRの結果はコントロールできない
広報・PR活動の一環であるパブリシティは基本的に他人の口を通してブランドについて語ってもらうアプローチです。
他人の口からニュースや情報が語られることにより、ニュースや情報内容の信憑性が大きく増すからです。
とはいえ、他人が口にする内容やその方向性をコントロールすることはできません。
それゆえ、製品やサービスなどのブランド・イメージ構築をすべてパブリシティ任せにしておくことは危険な面がある。この本の著者で、ブランディング・マーケターの水野与志郎氏はそう指摘しています。
すべてを他人任せにしておくと統一性のない「多重人格者」や「性格分裂症」気味のブランド・イメージが形成されるのが自然だからです。
イメージをコントロールするには広告
それゆえ、パブリシティにばかり軸足をおくのではなく、問題解決が必要な場面には、積極的に広告の助けを借りるべきだというのです。
なぜならパブリシティとは違って、広告は自分の口を通して語るゆえ、その内容や方向性をこちらでコントロールできるからです。
だからこそ、自分が成長させようとしているブランドが「多重人格者」や「性格分裂症」気味になってきたと感じたら、ブランドイメージ統一のために広告で仕掛けていくことも重要だというのです。
<広報・PR>と<広告>を必要に応じて使い分ける視点
パブリシティと広告を必要に応じて使い分けていく視点は、他の広報・PR関連の書籍ではお目にかかれなかったもので、すごく新鮮な内容でした。
読むことで得た個人的見解
同時に、自分の置かれている立場からすれば、当面はパブリシティ(広報・PR)に軸足をおくべきだという点を再確認する材料ともなりました。
社会的な認知度もこれからというベンチャー系IT企業の広報パーソンとしては、会社の社会的認知を促進し、ブランド構築に傾注すべきステージにいます。そのためには、やはりパブリシティ中心にしかけていくべきです。
広告によるブランド・コントロールの話は、もう少し先の話になるでしょう。
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