あなたは社会を自分の手で大きく変えてみたい、と思ったり、願ったりしたことはありませんか?
そうした一見大それたことに見える思いや希望の実現を私は否定しようとは思いません。
個人であっても、社会を大きく変えることは、それほど難しいことではないのかもしれない、そうした思いが最近になって強まっています。
そうしたことを実現する上で大きなヒントとなる研究や書籍に触れる機会が増えているからです。その一つが今回ご紹介する『急に売れ始めるにはワケがある』です。
ソフトバンククリエイティブ
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この本の原題はThe Tipping Point。ティッピング・ポイントとは「あるアイディアや流行もしくは社会行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間」のこと。
一見すると些細なこと、小さな原因が、ベストセラー、大ヒット商品、病気の爆発的流行、凶悪犯罪の劇的な現象、など大きな結果をもたらすことがあります。
その些細なこと、小さな原因を生み出す原則を理解した上でプランを立て、試行錯誤していくことで、社会に対してインパクトをもたらす存在になるのはあなたかもしれません。
著者マルコム・ブラッドウェルはさまざまな事例を幅広く研究・分析し、小さな原因を支える三つの原則を抽出し整理しています。
原則1 少数者の法則
原則2 粘りの要素
原則3 背景の力
たとえば有名な「窓割れ理論」は<原則3 背景の力>にあたります。窓ガラスの割れた家や車を放置しておくと、その周辺での犯罪率が急激にあがる。環境や条件によって、人は行動を変えるという「背景の力」を示す理論です。
この理論を応用したのが、ニューヨークの地下鉄でした。かつて犯罪率がきわめて高く、いわば無法地帯だったニューヨークの地下鉄車内。
そこで、徹底的に車内の落書きを消し、ゴミがあれば披露などして美しい状態を保つよう徹底。結果、犯罪は激減。
たしかに、1995年の冬にニューヨークを阿久澤が旅行したとき、地下鉄の駅、ホーム、車内、どこにおいても犯罪やそれによる恐怖や危険を感じることはありませんでした。
これは組織による大規模なティッピング・ポイント作りの例ですが、本書をお読みになれば、三つの原則はどれも個人レベルでも十分実践できるものだということがおわかりになるはずです。
あなたが社会に何か面白い変化を起こしたいと思っているなら、本書はそのヒントにあふれています。
さらに『アイデアのちから』をあわせて読むことをお薦めしておきます。こちらの本は、ティッピング・ポイントづくりのより実践的な手法にフォーカスした内容になっています。
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