高校時代のちょっとしたエピソード
高校二年の春のことです。クラスの推薦を受け、高校の生徒会の役員に僕は立候補することになりました。
とはいえ、当選の見こみは薄いと本人のみならずクラスメートも感じていたはず。
単なるクラスの代表候補で、学内で取り立てて目立つような存在ではなかったから。
しかし、どうせやるのだから選挙プランを練ろう、と普段から親しくしているクラスメート数人が僕のもとに集まりました。
初期の話し合いで、投票権を持つ全校生徒にアピールできるコンタクト・ポイントは大きく分けて三つあることを確認。
第一に、選挙期間中に張り出しの許されるポスター。
第二に、期間中の候補者に許されている、休み時間に各クラス訪問しての短いスピーチによるアピール。
第三に、公式イベントとしての、候補者演説会。
この三つの中で、候補者の印象を決定づけるのは最後にあげた演説会のはず。したがって演説内容やパフォーマンスに力を入れよう、という意見が初期の話し合いの主流を占めました。
しかし途中、昨年の演説会において手書きによる候補者全員の豊富を収録した簡易パンフレットが学校から配られたことが話題にのぼりました。
「立候補者の演説に説得力があったり、うまいと感じるのはほんの数名だ。あとは退屈だったから、手元に配られたパンフレットばかり読んでいた気がする。面白い内容を書いていた候補者や、単純に字がうまくて頭がよさそうって感じた候補者に投票した記憶があるな」
この友人の発言をヒントにして、そのパンフレット一点に注力するメディアをしぼった選挙戦略をとることにしました。
一年前のパンフレットを担任教師経由で手に入れ、分析を開始する。さすが男子校(?)、候補者たちの字は一様に書き殴ったようなものばかりで、乱暴で読みにくい。
そこで、丁寧に読みやすい字を書くことで他の候補者と差別化し、読んでもらえるよう努力しました。
さらに、文章を読んでくれた生徒に内容を印象づける工夫として、ユーモラスな比喩を前面に押し出しつつ自らの主張をさりげなく展開する形をとりました。
結果として、僕は当選し、常任委員という生徒会のポジションを一年間勤めました。
ハーゲンダッツ・アイスクリーム戦略?
ここからは完全に余談だが、この時期に経験した仕事の中で一番記憶に残っているのは、生徒会長の謝罪スピーチの草案や実際の謝罪文書をゴースト・ライターのように繰り返し僕が書いたことです。
謝罪の理由は「学校にハーゲンダッツ・アイスクリーム専用自動販売機を複数台設置する!」という公約を掲げ彼は生徒会長に当選したものの、それを実現できなかったから。
たしかに群馬の公立男子高校にハーゲンダッツ・アイスクリームの自動販売機というギャップのある発想自体は面白かった。
もし、ハーゲンダッツの言葉のインパクトで生徒会長に当選したあとで、謝罪に追われることをあらかじめ折りこみ済みだったというのなら、それはそれで戦略に長けた男だったと言うべきだったんでしょうね。
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