授業形態の傾向は日本の大学と海外の大学では大きく違っている。
? もちろん海外のすべてをリサーチしてきたわけではない。ただ、アメリカの学部とイギリスの大学院の授業を経験してきて、日本で広く行われている授業形態の方がかなり異色だということははっきりと理解できた。
日本の授業はいわゆる講義形式が基本だ。教員が、専門知識を系統立てて紹介し、受講者はその聞き役をひたすら果たす。講師にとって、いい受講者とは静かに集中して耳を傾ける聞き手である。
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一方で、英米における講義の占める割合はかなり少ない。アメリカの学部でもイギリスの大学院でも、教員の基本的な役割はファシリテーターである。学生同士の議論を刺激しリードするのが主な役目だ。授業の主役はあくまで学生で、学生の議論が脱線した時にテーマに引き戻したり、極端なものになりそうになったときにバランスを取ったりするのが基本だ。バラエティ番組の司会ホストをイメージするのがわかりやすいかもしれない。このような授業形態においては、積極的に参加し、発言する受講者こそ高い評価を受ける。
どちらの授業形態が望ましいのかといえば、結論は一つではない。しかし、後者の受講者参加型を基本にすえるのが妥当だと僕は考えている。参加型の方が集中力のみならず授業に対する緊張感も持続する。また、自分が授業の一角を担す役割を果たし、意見を交換したりして他の受講者と交流したことによる満足感も、参加型の方が圧倒的だと思う。
たしかに、授業を行う側に立てば、講義型の方がかなり楽である。自分で組み立てたとおりに話を進め、進度も調整できる。ハプニングは起こりにくい。
一方、講義型の授業ではない、参加型の実習授業を手伝っていて気づいたことがある。教える側は柔軟性だけでなく、具体的な知識もかなり要求されるということだ。受講生が思わぬハプニングを起こすこともある。
しかし、そういったハプニングに柔軟に対応し、ファシリテーターとなりバランサーとなることを求められる授業形態の方が、授業を行う型も受講者と一緒に成長できるということをここ数年で実感することができた。
受講生と一緒に教える側も成長できる、成長のシナジー効果が起こりうる参加型の授業形式が今後もっっと普及していくことを願いたい。
(※記事で使用しているイラストは丸山学著『WEB2.0的仕事術』216ページを参考に阿久澤が作図したもの)
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