文章に採用する具体例にモレ、ダブりをなくそう!

論理的文章表現の考え方と実践

文章における具体例(実例、実験例、統計データなどを含む)は読み手とイメージを共有し、読み手に議論の内容を促進するために不可欠な要素だと言っていい。

その具体例選定のバランス次第では両極端な結果を招くので注意が必要だ。その選定がバランスよく行われれば、説得力が増し、議論にも信頼性を付与できる。その逆であれば自分の都合のいい例を引っ張り出して無理矢理仮説をサポートしようとしている、といった印象を与えかねない。

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齋藤孝はそういった場面で、「できるだけ離れていて重ならない」、距離の遠い、関係性や関連性を見つけにくいものをあえて選ぶべきだと示唆している。そうすると、つながりやそれに共通する筋のようなものが簡単には見えにくくなる。それゆえ書き手はより深いレベルで論理的つながりを考察する必要が出てくるからだ。そこにつながりや筋を見いだして明確に説明できたときに、オリジナルの分析力や洞察力を発揮することで、読み手に多少の驚きを与えつつも、納得感を与えることができるからだ。

この斉藤の考え方はMECE(ミッシー)のコンセプトとほぼ重なり合う。Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveを略したのがMECEである。つまり、議論対象や採用する具体例などに「モレとダブリ」が発生していないかを意識するのだ。

実は僕自身、ペーパーがほとんど仕上がる段階で読み直している時に、自分の採用した具体例にモレがあったことに気づき、一部の執筆箇所を大幅に修正する羽目に陥った。

こういった手戻りによる無駄な時間を発生させないためにもMECEを視野に入れ、論文や文章の構想段階で採用する具体例や事例のバランスをとっておくべきことの重要性をその失敗から学んだ。つまり、MECEの概念を知識として持っていても意味がない。脳味噌に刺青する(tattoo into my brain!)くらいに鮮明に刻みこみ、重ねて実践していくことで体得していこう。

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5 何より「書く」ことは公共性を意識しなければならない、という姿勢を確かめられて良かったと思います。

※この記事で使われている図は齋藤孝『書く力』(大和書房、2004年) 120ページの図を参考に作図し、一部内容を阿久澤がアレンジしたもの。

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