読書と出版

『罪なき囚人たち』

『罪なき囚人たち―第2次大戦下の日系アメリカ人』
ロジャー ダニエルズ 『罪なき囚人たち―第2次大戦下の日系アメリカ人』(川口博久訳、南雲堂、1997)
  筆者のロジャー・ダニエルズはシンシナティ大学のアメリカ史の教授で日系アメリカ人関係の著書が複数あり、本書もその中の一つである。
 この本で貫かれている問題意識は、第二次大戦下のアメリカで日系アメリカ人の強制収容がなぜ起こったのか、というものだ。その点を多角的な視野から簡潔だが丁寧に検討している。


また戦後補償の問題の流れを丁寧にカヴァーしてあるので、この問題のより大きな流れに関心を持つ方には役に立つだろう。最終章に近い部分では、アメリカ社会において今後同じような民族や人種に対する偏見が起こるやもしれない可能性やそれが起こりうる条件について触れている。
  日系アメリカ人強制収容問題のケース・スタディーから、より広範な偏見・差別・迫害の問題一般についても読者に思考の材料を提供するような構成が意識されている点も評価できる。

ピックアップ記事

  1. 相手にアクションを求めるなら「失敗談」と「成功談」をセットにしたストーリーを伝え…
  2. 日常のコミュニケーションにストーリーを!
  3. One Book, Three Points, One Actionから始めよう…
  4. ストーリーは「心」を動かすための演出

関連記事

  1. 読書と出版

    T. ホプキンス R. ヒルバート 『グッド・マン 幸福を引き寄せる生きかた』

     物語を通して「人生を幸福に生きるための6つの知恵」を紹介する本、…

  2. 読書と出版

    『芸術・メディアの視座』刊行

    全体としては、大学学部・専門学校などで広く教科書や入門書として使えるよ…

  3. 読書と出版

    「江古田文学」70号  [文化考現論] 連載 第7回

    江古田文学 70号が発売となりました。 (さらに&hellip…

  4. マーケティング

    「ワクワク系マーケティング」本の決定版!

    はじめに 小阪裕治著『「惚れるしくみ」がお店を変える!』を読みました。…

  5. 読書と出版

    「違いのわかるあなた」になるためにうってつけの本

      はじめにあなたは何度も読み返すべき本、あなたは持っています…

  6. 読書と出版

    ヒトラー暗殺計画とスパイ戦争

      『ヒトラー暗殺計画とスパイ戦争』 ジョン H.ウォラー (著)…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

アーカイブ

  1. お役立ちサイト/サービス

    ロゴデザインのインスピレーションを提供するサイト
  2. 運営者情報

    個人で提供可能なサービスを棚卸ししてみました
  3. ストーリー思考

    フレームワーク習得に役立つ「ストーリー型学習教材」活用のススメ
  4. 読書と出版

    「江古田文学」60号
  5. デザイン

    「伝わる」デザインの難しさ
PAGE TOP