Robert Frankは第二次大戦後、アメリカを代表する写真家の一人である。1924年スイスのチューリッヒ生まれ。1958年に発表されたThe Americansは戦後の写真史における重大な出来事の一つとされている。アメリカを部外者のまなざしからシニカルに、時にアイロニカルにとらえたフランクの写真は当時のアメリカ人にとって大きなショックを与えた。
Robert Frankの写真を現在のわれわれの目からとらえたらそれほど衝撃的とは思えないが、ドキュメンタリー写真史の文脈に彼をおくと当時の彼の写真はかなり異端である。当時のドキュメンタリー写真は(Walker Evansなどの一部の例外をのぞけば)社会変革や政治的な意味合いをこめたものが多かった。しかし、Robert Frankの写真において、社会的な文脈はあまり重要でないように思える。たとえば、僕が写真の入門書として読んでいるとある本によれば「(Robert Frankは)普通の日常の光景がまさに神話になりうる瞬間をとらえた」という風に言及されている。そういう意味合いでは、彼の写真に対する姿勢はドキュメンタリーよりも芸術的趣向が強かったように思う。
しかし、Street Photographyという文脈では彼は街角を様々な形で「記録」しているわけで、やはりドキュメントの部類に分類可能であるし、その意味ではやはり面白い視点をこの分野に注入したことになると思う。ただ、現代的な文脈ではRobert Frankの写真は後の芸術写真家により多くの示唆を与えたのではないか、と僕は勝手に想像している。写真の勉強をし始めたばかりの素人なので。
ただ、漠然と写真の勉強をしようとしてもなかなか頭に入ってこないものだが、写真史側から、つまり歴史的な流れとそこに登場してきた写真家ということで情報を整理していくと、文化史的な意味では興味深い。今回はコースのカリキュラムの必須科目の一つでもあるので、なおざりにできないという事情も手伝って、このセメスターで大まかな写真史の流れやそれを取り囲んでいた文化状況を把握したいと思っている。
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