Cultural Typhoon(Day 2)

 

 


左からペラソヴィッチ、浅見、上野氏

   

 第一回「CULTURAL TYPHOON」の二日目。午前中のセッションで僕が参加したのは「テレビ・ジャンルにおけるリアリティの研究」と題する分科会。内容としては、日本のテレビにおけるクイズ形式の草創期と形式の変遷。次に、メディアにおけるリアリティの問題を社会学者の方が、自分の視点から問題提起。最後に、クイズミリオネアに見られるグローバルな展開と、地域でのローカリゼーションのありよう。つまり、グローカルなレベルでの議論だが、これは研究プロジェクトと立ち上げるので参加者を募ります、という内容だった。


 昼食は昨日行ったタイ・レストランの近くにインド・ネパール料理屋を見つけてそこでカレーとナンを食べた。
 午後のセッションは、大教室で行われた「若者文化とアンチグローバリゼーション」というトピックの分科会に参加。円テーブルを中心にコーディネーター・司会・通訳は上野俊哉氏。毛利嘉孝氏やペラソヴィッチ・ベンヤミンなどの面々が集っている。ちょっと早めに会場入りしたので、悪くない位置にヴィデオ・カメラを設置することができた。
 別に国際学会と銘打っているわけではないが、日本語で発表や意見の表明が行われれば、英語の通訳がつくし、その逆もしかりである。ただ、通訳者を雇っているわけではないので主催者側の大学の先生が有志で通訳されている状況である。また、発表者が日本人の場合、英語で発表したものを即座に日本語で語る、という形式をとっていた。会場によっては、通訳者が議論のスピードについていけなくなったり、集中力が続かなくなったりと英語の得意でない学生にはきっとつらい状況だった場面が見受けられた。
しかし、この会場の通訳をかって出た上野氏の日英と英日の双方向の通訳には舌を巻いた。自分のいいたいことを外国語で話せる研究者や学生は数多くいると思うが、双方向の言語への通訳をスピーディーかつ正確に何の不自由もなく、楽しそうにこなしている人物を見たのは初めてであった。僕がときたま必要に応じて行っている日常会話にプラスαくらいの通訳でも、けっこう神経を使うし内容によってはかなり苦労するのである。個人的には議論の内容よりも、通訳を専門にしているはずもない上野氏の英語と日本語の運用能力ともいうべきものに個人的には圧倒されてしまった。
 分科会のテーマは、若者文化がどういった形で政治との関わり合いを持つようになってきているのか、その現状の報告とその将来的な可能性を探るといったものであった。まず、レイヴ・カルチャーに係わっている清野栄一氏の報告があった。
次に、クロアチアの社会学者のペラソヴィッチ氏が具体的な政治的な連帯を複数のレヴェルでどのように形成していくかという点と、大きな社会変革や革命を口にするよりも個人の日常において、問題意識を研ぎ澄まし、きちんと実践していくことが重要だという内容の発表があった。その後、浅見克彦氏のコメント。
 最後に、毛利氏は都市の若者文化を地方で実践したときのリアルな反応や温度差について語った。毛利氏は、自分の体験を形としては面白おかしく語ったが、そこには重要なポイントが合ったように思う。
  
 都市で生まれ、沸騰した熱い文化も、その熱を保ったまま地方に注入するのは難しい。都市の熱をそのまま注入しても地方ではその熱は冷めやすい。その文脈で考えると、東京とロンドンで都市の熱い文化から生まれる何かを共有することは確かにそれほど難しくないかもしれない。
 しかし、たとえば僕の出身県である群馬県などは東京とは距離的には、少なくともロンドンと比べればかなり近い。しかし、東京で生まれる熱い文化やそこから生まれる何かをたやすく群馬県民のようなローカルな人々が同じレヴェルで共有できると考えることは非現実的である。だからこそ、大きな社会的な連携や動きを起こそうとする時には、そういった都市と地方の温度差の克服するための努力が必要になると同時に新しい連携の仕方も模索しなければならない。毛利氏の発言を一つの問題提起としてとらえればそういうことになると思う。
 追記;会場で撮影した映像は、すべてのセッションとプレゼン、シンポジウムをカヴァーはしていませんが、どの会場も撮影していたのは僕だけだったようなので、どうしても見たい、確認したいという方はメールなどでご連絡ください。映像の出来は保証しませんが、ご相談に乗ります。

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コメント

    • akuzawa
    • 2003年 7月 15日

    琉球大学 法文学部 助教授 多田 治氏のタダオサム・ギャラリー <カルチュラル・タイフーン>
    http://w1.nirai.ne.jp/tada/Typhoon.photo.htm

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