映画・写真・音楽

CUBE

巨大な牢獄のような空間に放り込まれた人々という特異な状況設定から物語は始まる。彼らは誘拐されたわけでもないし、社会的な罪を犯したわけでもない。彼らがそこに放り込まれた理由や意図は皆目わからない。ただ、わかっているのはうかつに動き回ると死に至らしめる罠があちこちに張り巡らされているということだけだ。 


 警察官、医者、知恵遅れの者、女子学生、脱獄のプロなど、そこに存在する人物像はそれぞれだ。意見を戦わせ、仲違いをしつつも、そこから脱出するという一つの目的に向かって彼らは動き始める。しかしながら、CUBEは美しいチームワークの物語ではない。極限状態に置かれたときに、それぞれの登場人物のエゴや暗い面が浮き彫りになっていく様子を心理的に描き出していくことにむしろ力点が置かれているとさえ思える。また、極限状態の中、人間的な倫理が崩壊していく様子も執拗に描かれている。最後に出口を見いだし、そこから脱出することになる人物は非常に意外な人物だ。
 最後まで緊張感を保ち続ける一級の心理劇。人間のエゴの愚かしさを特異な設定で浮き彫りにした作品だと言っていいかもしれない。

ピックアップ記事

  1. 日常のコミュニケーションにストーリーを!
  2. 相手にアクションを求めるなら「失敗談」と「成功談」をセットにしたストーリーを伝え…
  3. One Book, Three Points, One Actionから始めよう…
  4. ストーリーは「心」を動かすための演出

関連記事

  1. 映画・写真・音楽

    裏窓

    ヒッチコックの『裏窓』、Rear Window (1954) を観た…

  2. 映画・写真・音楽

    映画鑑賞メモ

    最近ビデオやDVDで観た映画。■Girlfight(2000)監督…

  3. 映画・写真・音楽

    Robert Carlyle

    先週末にハリウッド映画ではなく、イギリス映画を見よう、ということで渡…

  4. 映画・写真・音楽

    『デジカメ時代の写真術』

    森枝 卓士 『デジカメ時代の写真術』(日本放送出版協会、2003)…

  5. 映画・写真・音楽

    Last.FM

    Going MyWay経由で知ったLast.FM。「リスナーの嗜好…

  6. 映画・写真・音楽

    ここ数ヶ月で見た映画

    食料品を買いに行く途中で撮影した写真。雨が降りそうな、これから晴れて…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

アーカイブ

  1. 研究

    テロと都市イメージの再構築
  2. 教育

    『大学講義の改革―BRD方式の提案』
  3. ストーリー思考

    『物語マーケティング』著者 山川悟氏にお会いしました
  4. 読書と出版

    Newnovelist
  5. 日記

    一年を簡単に振り返る
PAGE TOP