読書と出版

佐々木俊尚著『グーグル』

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)
佐々木 俊尚
文藝春秋 (2006/04)
売り上げランキング: 3205
おすすめ度の平均: 4.0

4 googleという灯台がwebの海で光を照らす
3 確かにグーグルのことを中心に書いていたが
4 既存システムの凄まじい破壊と再構築

 また、googleが今後のインターネットだけでなく、あらゆるネットワーク環境において大きな影響力を現在発揮していて、それがさらに強まることと、その功罪、つまり光と影についてバランスよく説明されている。

googleは、圧倒的なデータベースの充実により、政府や国際機関を凌駕するような巨大な権力を持つ存在になりつつある。

筆者は終盤で、デイヴィッド・ライアン教授による監視社会モデルの変遷を紹介している。

ビッグブラザー・モデル(イギリスの社会小説家ジョージ・オーウェルが『1984』の中で示したような国家による監視・統制社会モデル)

パノプティコン・モデル(フランスの哲学者ミシェル・フーコーによって提示されたシステムによる自発的服従作用モデル。パノプティコンはジェレミー・ベンサムが考案した監視塔を中心に囚人棟を配置し、いわゆる一望監視を可能にした刑務所施設の名称)

アセンブラージュ・モデル(「国家による監視とマーケティング的な監視が結びつき、監視がネットワーク化されている。監視されていることさえ気づかない」p234)

googleは「インターネットのパノプティコン」という結論で終わっている本が多かったが、新しいアセンブラージュ・モデルを知るに至ると、考えを改めざるを得ないだろう。

つまり、googleは最後のアセンブラージュを体現する主体たりうる。ネットワークに支えられた巨大データベースによる新しい監視勢力になりうるのだ。

僕が読んできた他の類書は「いわゆるグーグル八分」を紹介して、簡単にこの問題を指摘するにとどまっているが、本書ではもう一歩踏み込んだ感がある。新書の読みやすさの中に、深い洞察を部分部分で感じさせる一冊だ。googleだけでなく、ネット社会やネットビジネスの未来像に興味がある人にもお薦めしておこう。

ピックアップ記事

  1. ストーリーは「心」を動かすための演出
  2. One Book, Three Points, One Actionから始めよう…
  3. 日常のコミュニケーションにストーリーを!
  4. 相手にアクションを求めるなら「失敗談」と「成功談」をセットにしたストーリーを伝え…

関連記事

  1. 読書と出版

    大百科という言葉に弱かった

    僕の場合、けっこう環境的に恵まれていたと思うのだが、高校二年生くらい…

  2. 読書と出版

    近刊予定の共著について

    近刊予定の共著についてお知らせします。『芸術・メディアの視座』 タイ…

  3. 読書と出版

    『ウェブデザイナーになってよかった』

    堀田里佳『ウェブデザイナーになってよかった』(エムディエヌコーポレーシ…

  4. 平野 敦士 カール 『新・プラットフォーム思考』

    読書と出版

    平野 敦士 カール 『新・プラットフォーム思考』

      この本の著者はミスター「オサイフケータイ」として海外でも評価が高い…

  5. 読書と出版

    『週末ライターで稼ぐ』

    新井イッセー著『週末ライターで稼ぐ』(雷鳥社 2004年)を読んだ。 …

  6. 読書と出版

    報道写真と対外宣伝

    報道写真と対外宣伝―15年戦争期の写真界posted with ama…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

アーカイブ

  1. 日記

    ドミニカ共和国大使館協力イベント成功
  2. ストーリー思考

    CAZANA連載 第2回記事が公開!
  3. 日記

    転職のご挨拶
  4. ライフハック

    変化を求め続けることで、革命を成し遂げよう
  5. WEB

    暗黒の監視社会?
PAGE TOP