「ただ一つの思想を知るということは思想というものを知らないというに同じい」(西田幾多郎『続思索と体験以後』)
一つの思想に寄りかかりすぎるのは考えものだ。理想的な共産主義社会は完成し得なかったし、資本主義がわれわれを無条件に幸せへと誘ってくれるものではない。
僕もわりあい一つの思想に染まってしまったり、凝り固まってしまったことも少なからずあるので、自戒の念をこめて、西田幾多郎のこの言葉を心に留めている。
一つの思想やイデオロギー、アプローチに頼るのは便利だし、心強い。しかしながら、それは現実をとらえ、うまく打ち返す上で常に有効だということは言えないし、まったくの見当違いと言うことも大いにあり得る。
そういった意味で、うまく身の回りにある思想やイデオロギー、アプローチとの距離感をとることを自分に課していかなければならない。自分をアンビヴァレンツな状態に落とし込むことを楽しむくらいの余裕が常に必要だろう。
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