周辺飛行

abe_kobo.jpgNAP(日芸・アート・プロジェクト)公演『周辺飛行』を仕事が退けてから他の文芸学科スタッフと見に行く。このパンフレット制作には文芸学科スタッフも編集協力した。
舞台の演出やキャストは演劇学科関係者だが、元光GENJIメンバーの大沢幹男氏、山口果林氏が特別出演。
演出には、芸術メディアを意識的に横断する手法がとられている。具体的には、美術的な大道具、楽器の生演奏、映像的な視覚効果などを採用。さらに物語世界に関しては、安部公房の文学作品群を大胆にカット&ミックスして構築している。


メインである演劇の身体表現もなかなかのスペクタクルだった。男性バレリーナばりの体の動きを見せる者もいたし、女性パントマイマーの動きも観客の目を釘付けにするには十分なものだったはずだ。
かつて僕自身も安部公房の作品が好きでよく読んでいた。印象に残っているのは『砂の女』『壁』『他人の顔』『箱男』あたり。安部公房の作品は、前衛的な世界観であるわりには、社会派、そこに独特のユーモアが寄り添うという印象を持っている。この舞台では、安部が問題にしていた主体と他者の問題を問いかけながら、それを重くなく軽いタッチでスピーディーにコミカルに仕上げたのだと感じた。
 『箱男』はひっそりと目立たないようにせいぜい大きな段ボール二段くらいかな、小説を読んだときには勝手に想像していた。この劇では、箱男の実写版(?)が出てきたが、少なくとも4段くらい積み上げられた段ボールが屹立し、動き出すとなんだか迫力があるというか、威圧感さえ感じた。
 文学性とエンターテイメント性のバランスがうまくとれた舞台だった。

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