はじめに
あらゆるビジネス・シーンにおいて適用可能で、なおかつ大きな効果を期待できるストーリー思考のメソッドを一つご紹介しましょう。
それは、仕事やプロジェクトに取り組むさい、それらを一つのストーリーに見立て、その仕事やプロジェクトのエンディングのシーンをはじめにありありとイメージしてみることです。
もちろん、まったく見通しを立てないで仕事に取り組む人は少ないと思いますが、そこを鮮明にイメージしておくのと、しないのでは大きな差が生まれるのです。
イメージしてみよう
仮に、あなたがマーケティング・チームの一員で、次の会議で次回の自社サービス・プロモーションに向けた市場調査結果を報告する担当になったとします。
このケースでは、次回の会議であなたが調査報告を行い、それに対する会議参加者の反応やフィードバックを得るところまでが一つのエンディング。そのシーンをより解像度高い状態でビビッドにイメージしてみるのです。
すると、会議参加者の顔ぶれ、何を求めているか、などがあなたの頭の中で形を持ってくるはずです。
もちろん市場調査で得られた数値やグラフを報告しただけでは次のような反応が返ってくることが予想できます。
「それで、このグラフから何が言えるの?」
「この結論から、私たちはどんなアクションをとるべきだとあなたは考えているの?」
そう、事実を並べただけではSo what?(だから、なんなのさ?)という反応が返ってくるのが容易にイメージできるでしょう。
そうしたイメージを受けて、数値やグラフそれぞれにの意味づけが必要だな、調査結果を次のプロモーション戦略にどう生かすかについて複数の提案、少なくとも基本方針は必要だなということがわかってきます。
つまり、チームの人間があなたに期待している内容、仕事の質があなたの中で鮮明なカタチになってくるはずです。
そこをはっきりさせた上で、市場調査に取り組めば、単なるデータ収集ではなく、何が必要なデータで何がそうでないか仮説を立て、あらかじめ取捨選択した上でリサーチに入ることができます。
エンディングを鮮明にイメージすることの効用
このように仕事のエンディングをありありとイメージすることで仕事のアウトプットの質を確保することができます。
さらに仕事をしながら考えたり、迷ったりという時間が圧縮できるので仕事のプロセスにおけるロスタイムがぐっと減ります。スピードアップできるのです。
これだけでもエンディングを鮮明に思い描くことのの効果がわかっていただけると思います。
ハッピーエンドを目指そう
エンディングをイメージすることで、言ってみればクリアすべきレベルははっきりします。
ただ、せっかくの「ストーリー思考」なので、単なるエンディングではなく、あなたにとってより魅力的な、一段高い目標としての「ハッピーエンド」をイメージして、その実現を目指してみませんか。
そのハッピーエンドに周囲の誰かが驚いたり、喜びの表情を浮かべているシーンを生き生きとイメージすると特に効果的です。
そうすると、その後の仕事に対するモチベーションが「サプライズ・パーティーの準備」に似た心持ちになります。
もうちょっとここを工夫したら、相手が驚くだろう、喜ぶだろう、などとワクワクした高揚感、そして同時に自由な発想が次々に生まれてくるそんな状態、イメージできますよね。
すると「単なる業務」がプロジェクト化、「ジブンゴト化」します。仕事における付加価値をあなたが生み出す可能性もぐっと高まるはずです。
なぜなら、ハッピーエンド実現のために、あなたは創意工夫するでしょうし、自分なりの思い入れとこだわりを持って仕事に取り組むようになるからです。
結果として、あなたのモチベーションは高まり、楽しく前向きに仕事に取り組むことができるようになるはずです。
おわりに
まずは仕事のエンディングを鮮明にイメージすること。さらに、あなたにとってのハッピーエンドをはっきり、くっきりイメージすることで仕事に対するモチベーションを高めましょう。
仕事そのものをサプライズ・パーティー準備のイメージと重ねられたとき、あなたの中のスイッチが入り、動き出したくてたまらなくなるはずです。
コメント