読書と出版

『週末ライターで稼ぐ』

新井イッセー著『週末ライターで稼ぐ』(雷鳥社 2004年)を読んだ。


 表題の通り週末ライターになりたいという気持ちはさらさらないが、フリーライターの生態やその視点を通して出版業界の裏側をちょっと覗いてみようというくらいの気持ちからこの本を手に取った。

フリーランスのライターから見た業界事情が描かれていたのは期待通りだった。文章を書くための補助業務のような形で資料やデータを集めるデータマンといった人々が存在することはこの本を読んで初めて知った。

 フリーライターは自分で企画を売り込むこともある。筆者によれば、売れる企画を作る上で3つのTを意識することがポイントだそうだ。

  タイトル(表題)、
  ターゲット(読者層)、
  タイミング(発行時期)。


タイトルやターゲットは文章を書く上で自然と意識するものだが、市場を意識するとタイミングという要素が重要になってくる。そのあたりの考え方の基本が、この本ではわかりやすく説明されている。

 いわゆる編集者と呼ばれる人々と話をすると、彼らが世の中の流れのようなものを自分なりに意味づけしていくことで本を出版するタイミングに関する戦略決定をしていることに気づかずにいられない。それぞれの編集者は時代の流れの読み方、視点というものを独自に持っている。そういったロジックは独自性が強く新鮮なので聞くのは楽しい。

 個人的には「媒体が変わっても基本は5W1H」といったいわゆる5W1Hといった基本事項の重要性が強調されていた点が関心を引いた。知識として知っていても、いざ書く段になるとまったく意識していないことが僕自身多い。

特に客観性の求められる簡潔な文章を目指すときは重要な要素のはずなので、心のどこかに留めておいて、自分の文章を見直す機会にでも活用することにしよう。

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