僕としても、この種の本では滅多に出てこないチェ・ゲバラやガンディーなどの人名が出てくるのは以外だった。また、この本にはラテン・アメリカのポストコロニアルな状況に関する詳細な記述が出てくる。一連のポストコロニアルの関連研究や書籍でほとんど扱われてこなかった地域である。
ポストコロニアルな状況は世界の至る所にある、という認識をさせてくれる本である。このヤングの視野や問題意識の広さは、僕の知っているある人物のことを思い出させた。それはワシントン州立大学に留学していた時に一年に渡って教えを受けた教授のことである。
彼にある日、Burakuについて不意に質問された。まさかアメリカ人が日本の部落問題について知っていると思っていなくて驚かされた記憶がある。同時に、自国に内在するポストコロニアルな状況への無知や無関心をえぐられたような気もした。
ヤングのこの本も、あの時と同じような思いを抱きながら読み終えた。
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