研究

ポストコロニアリズム


 これは岩波書店の「一冊でわかる」シリーズの中の一冊だが、入門的な概説書の体裁はとっていない。ポストコロニアリズムの基本的な部分を抑えた後の読者でないと、かなり面食らう内容かもしれない。
 僕としても、この種の本では滅多に出てこないチェ・ゲバラやガンディーなどの人名が出てくるのは以外だった。また、この本にはラテン・アメリカのポストコロニアルな状況に関する詳細な記述が出てくる。一連のポストコロニアルの関連研究や書籍でほとんど扱われてこなかった地域である。


ポストコロニアルな状況は世界の至る所にある、という認識をさせてくれる本である。このヤングの視野や問題意識の広さは、僕の知っているある人物のことを思い出させた。それはワシントン州立大学に留学していた時に一年に渡って教えを受けた教授のことである。
 彼にある日、Burakuについて不意に質問された。まさかアメリカ人が日本の部落問題について知っていると思っていなくて驚かされた記憶がある。同時に、自国に内在するポストコロニアルな状況への無知や無関心をえぐられたような気もした。
 ヤングのこの本も、あの時と同じような思いを抱きながら読み終えた。

ピックアップ記事

  1. ストーリーは「心」を動かすための演出
  2. 日常のコミュニケーションにストーリーを!
  3. One Book, Three Points, One Actionから始めよう…
  4. 相手にアクションを求めるなら「失敗談」と「成功談」をセットにしたストーリーを伝え…

関連記事

  1. 研究

    サイバーでクールなカタカナ

    このポストモダンな世界に記号はあふれている。しかし、それでも変化や差異…

  2. 研究

    ロゴライゼーション

    移動中の読書用に、あまり肩が凝らなそうで、ある程度自分の学術的な興味を…

  3. 研究

    reappropriation、読みかえ

    queerのようにもともとネガティヴな意味合いを持つ単語が、当事者によ…

  4. 研究

    カルチュラル・スタディーズ: イントロ(1)

    勤務先大学の学生サークルから依頼されて勉強会用にカルチュラル・スタディ…

  5. 研究

    万国博覧会の美術

    朝食を済ませた後、上野の東京国立博物館の特別展示『万国博覧…

  6. 研究

    heterotopia

    映画関係の都市論を読んでいて、フーコーが提唱したheterotopia…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

アーカイブ

  1. 教育

    文芸特殊研究1(第一回)
  2. ストーリー思考

    大きな挑戦ストーリーを語ることで周囲を動かす
  3. 文章術

    伝えるべきことをワン・メッセージに凝縮しておくことの効果
  4. 日記

    三島で鰻を食らう
  5. ストーリー思考

    短い時間に複数のストーリーが凝縮されたロンドンパラリンピックのTV-CM
PAGE TOP