はじめにお断りしておきますが、 今回はストーリーよりはマーケティング寄りの話になります。
理屈はわかるものの……
普段から私はよくマーケティングの本を読んでいます。 その中で、モノやサービスを売るときはいわゆる五感、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚に訴えると効果的、ということがよく書かれています。 それについて、理屈は理解していたものの、心の底から共感・納得という感じではありませんでした。 あくまで情報としての理解で、自分の経験と照らし合わせた上で、納得する、というところまで至っていなかったからです。
自分にピンとくる紹介例と出会い
そんな中、山下貴史『怪しい商品が売れる、ごくまっとうな理由』を読み、その中で紹介されていた例を読んで、「なるほど!」と遂に納得しました。
以下、その中の(少し長めですが)一節を引用します。
お祭りのような場では、五感が刺激されます。五感に働きかける五感コミュニケーションが起きているのです。お祭りでは、視覚に働きかける、嗅覚に働きかけるコミュニケーション等が、販売促進ツールとしての効果を果たしていたのです。看板などの広告と違った、五感に働きかける広告や販売促進の方法があるのです。 実際、焼きトウモロコシの屋台では、客の列が途切れると、オヤジが、わざと醤油をこがしたりします……
なぜなら、これを読んで私自身思い当たるところがあったからです。
祭りにおける「買い食い」
つい先日、地元の祭りがあったとき、ちょうど昼時だったのでブラジル料理、ネパール料理、韓国料理の屋台でちょっとした料理を少しずつ買って食べました。
私はとりわけ民族料理全般が好きです。 また、食べたことのないモノにトライしてみるのも好きなので、ブラジル、ネパール料理は趣味に合致しています。そして量的にもそれで十分だったはず。 しかし、韓国料理の屋台でチャプチェまでついで買いしてしまいました。 チャプチェは、最近自宅でも妻が時々作ってくれるのでわざわざ祭りで買って食べる必然性はなかったはず。 なおかつ、チャプチェを買った頃には全然空腹ではなかったはず。 しかし「たまには韓国の人がつくった本場風チャプチェも食べてみないと」などと、あまり説得力のない理由をその場ででっちあげ、買い食いしたのでした。
祭りが持つ五感コミュニケーションの力
今から考えると、祭りの最中、普段より財布の紐はかなり緩くなっていました。 その背景には、祭りそのものが持つ五感コミュニケーションの力があり、私自身その影響下に置かれ衝動買いをしたのだと結論しました。
おわりに
実際、マーケティングのテクニックの影響を受けている場面は私たちの生活場面の中で多いはず。 しかし、気づいていない、実感できていないものが多いのだな、と改めて認識しました。
そういった中、マーケティングの仕組みに自分がいわばハマッてしまった場面が特定できると、その時の自分の心の動きと効果が実感でき、腹落ちします。 この「祭りにおける(余分な)買い食い体験」を振り返ってみることを通して、 五感、見た目、におい、音、味、触感が 優秀なセールスマンだということをやっと私は理解したのでした。
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