平野 敦士 カール 『新・プラットフォーム思考』

読書と出版

平野 敦士 カール 『新・プラットフォーム思考』

 
この本の著者はミスター「オサイフケータイ」として海外でも評価が高い元ドコモの平野敦士カール氏。

たった一人で組織を動かす 新・プラットフォーム思考
平野 敦士 カール
朝日新聞出版
売り上げランキング: 63736

 

「オサイフケータイ」は平野氏が発想し、中心となって実現した新しいプラットフォーム。

その背景にあった発想方法と実現までのアプローチの仕方がこの本では紹介されています。

しかしながら、いい意味で「オサイフケータイ」だけに絞られた内容ではありません。新しいビジネスモデルを創出するためのヒントが
盛りこまれているのです。

私なりに抽出したこの本のポイントは3つあります。

・プラットフォーム戦略とは何か?
・プラットフォームのコアとなる本源的欲求の捕まえ方
・どうプラットフォームを創造するのか?

はじめに「プラットフォーム戦略とは何か?」ということ。プラットフォーム戦略の定義ですね。

著者は次のようにプラットフォームを整理しています。

プラットフォーム戦略とは、簡単に言えば「さまざまなグループが集まる『場』『舞台』を提供し、多くの人を集め、クチコミなどによって
その『場』『舞台』を拡大する」

「一社だけ多くの人々のニーズに対応するのではなく、多くの企業とのアライアンス(提携)を行って一緒にその『場』『舞台』を拡大していく戦略です」

この点、家庭用ゲーム機の例がわかりやすかったので自分のマインドマップのセントラル・イメージに加えてみました。
 

WiiやPS3などのゲーム機はプラットフォーム。

ゲーム機メーカーは自分たちだけでソフトを供給するのではなく、さまざまなソフト会社に声をかけて、ソフトを提供してもらう。

そうすることによりユーザーは多様なソフト・コンテンツを楽しめ、ゲーム機というプラットフォームがニーズを満たしてくれる『場』『舞台』だと認識するようになる。

この点、確かにそうですね。『場』『舞台』を提供する側が一番ベネフィットを得られます。
私自身、勉強会という小さなプラットフォームの幹事をしていた時期があります。そのさい、人脈が急速に広がり『場』『舞台』を提供する側のメリットを実感しました。

次に「プラットフォームのコアとなる本源的欲求の捕まえ方」

単純に『場』『舞台』を用意すれば人が集まるわけではなく、人々の本源的欲求にこたえるプラットフォームでなければ、うまくいかない。

それを知るための著者なりの方法が紹介されています。

そういえば、かつてゲームクリエイターの水口哲也氏が、そのための手段として「自分の感情の動き、欲求を感じ、観察することを徹底する」と言っていましたが、そのあたりも私の頭の中でリンクしました。

最後に、「どうプラットフォームを創造するのか?」について、次のようにステップ6まで紹介されていました。

STEP 1 社会の変化、規制緩和という大きな流れをとらえて不満を探す
STEP 2 ターゲットとなるグループを特定する
STEP 3 プラットフォーム上のグループが活発に交流する仕組みを作る
STEP 4 キラーコンテンツを用意する
STEP 5 価格戦略を立てる
STEP 6 価格以外の魅力をグループに提供する
STEP 7 プラットフォーム上のルールを決めて管理する

上記で、私が注目したのは「キラーコンテンツ」を提供し、さらに「活発に交流する仕組みをつくる」という点。

「キラーコンテンツ」で新規ユーザーを獲得し、「活発に交流する仕組みをつくる」ことでプラットフォームに再アクセスする理由をつくること。

プラットフォーム・ビジネス自体は現在、かなり多くのものがあります。

ただ、その中で成功しているものとそうでないものを分けているのはこの2点を押さえているか、そうでないかではないかと阿久澤は考えています。

ピックアップ記事

  1. 相手にアクションを求めるなら「失敗談」と「成功談」をセットにしたストーリーを伝え…
  2. ストーリーは「心」を動かすための演出
  3. 日常のコミュニケーションにストーリーを!
  4. One Book, Three Points, One Actionから始めよう…

関連記事

  1. 読書と出版

    岩井 宏太 『リアルウェブ営業術』

     クライアントの広報活動支援の一環として、ウェブ制作・デザインを担…

  2. 読書と出版

    「江古田文学」70号  [文化考現論] 連載 第7回

    江古田文学 70号が発売となりました。 (さらに&hellip…

  3. 読書と出版

    『闇の王子ディズニー』

    マーク・エリオット『闇の王子ディズニー(上・下)』(古賀林幸訳、草思社…

  4. 読書と出版

    『罪なき囚人たち』

    ロジャー ダニエルズ 『罪なき囚人たち―第2次大戦下の日系アメリカ人…

  5. 読書と出版

    『αの種子―成功をつかむ10の扉』

     自分の「プラスアルファ」の部分を発見、理解し、それに集中・専念し、…

  6. 読書と出版

    ネットの「こちら側」と「あちら側」-『ウェブ進化論』を読んで-

    梅田 望夫著『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』ちくま新書、…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

アーカイブ

  1. イギリス大学院留学

    3度の留学と英語学習の概略
  2. 研究

    Cultural Typhoon(Day 2)
  3. 日記

    結婚記念日を新宿Hamasakiで
  4. 広報・PR

    プレスリリース 第二弾の原稿作成
  5. 文章術

    報告書作成の即戦力 → 5W3H
PAGE TOP