第二次大戦中から物語は始まるが、戦時中の暗さがほとんどなく、戦争をむしろ笑い飛ばしているような描き方が印象に残った。
同じように戦時中にもあっけらかんとした人々の様子を描いている作品として、今江祥智の小説『坊ちゃん』を思い出した。
主人公の洋と同居していた叔父さんが飼い猫にふざけ半分で東条英機の名前を取って「東条はん」とつけていた。しかし、その猫が姿を見せなくなって「東条はん、東条はーん」と声にしながら探している途中で、その叔父さんは不謹慎だとして警察に捕まってしまう。
この『まあだだよ』でも、百閒の飼い猫のノラがいなくなってから同じようにひと騒動持ち上がる。ノラの失踪に憔悴しきった百間は『ノラや』という作品を残したそうだが、これは是非とも読んでみたい。
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