Vanley Burke現る

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The City in European and American Photographyの授業に、著名な黒人写真家Vanley Burkeがやってきた。
彼が提出したイメージの重要性に関してはStuart Hallなどをはじめ、多くの研究者が言及し、論じている。なぜか。彼は世間に流布するいわゆる黒人ステレオタイプとはまったく別個のオルタナティヴにあたる黒人表象を提出し続けてきたからだ。
黒人ステレオタイプとは、いわゆる白人社会が好んで構築してきたし、われわれ日本人もメディアなどを通じてそれを共有していると言っていい。たとえば、暴力的、貧しい、犯罪に関与しやすいなどといったものはその代表だろう。ステレオタイプは極端な人間像を提出する。黒人の場合、ストリート・ギャング、ドラッグ・ディーラー、スポーツ選手、コメディアンといったものが代表的だろう。


Vanley Burkeが提出する黒人表象はそういった極端な、特別な人々ではない。ごく普通の人々がフレームの中で、泣き、笑い、喜び、恥ずかしがったり、おどけたりしている。そういった表情の中から、われわれは人種的な要素うんぬんよりも、そのイメージから血の通った人間味を感じ取ることができる。普通の人々の人間味のある表情、それが黒人ステレオタイプを脱構築し、書き換える可能性を多くの研究者や批評家は見いだしている。
彼自身の文章(Here I Stand)を読んだが、非常に素朴な人物だという印象を受けた。教室にやってきた彼もやはり木訥で愛嬌のある人物だった。一時間以上に渡って、写真との出会いや、写真を通して自分が経験してきた貴重な体験などを語ってくれた。また、新聞などのメディアに自分の写真を売らない理由、結果としてフリーランスという形をとっているが経済的にはかなり苦労してきたこと、また現在進行中のプロジェクトについてなどの話が特に興味深かった。
参照WEB PAGES
Vanley Burke(Birmingham City Council’s website)
Through the eyes of Vanley (BBC)
Black Britain

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