江古田。日本大学芸術学部。新井敏記氏は本年度、芸術学部文芸学科の科目ジャーナリズム論2を担当される。新井先生は同大学芸術学部文芸学科の卒業生で、現在は雑誌『SWITCH』編集発行人として活躍されている。昨年、新井敏記氏には文芸学科で特別講座をお願いした。それが学生たちから大好評だったことから本年度より、文芸学科で週に一度教鞭をとってもらうよう大学側からお願いし、それが実現したという形だと思う。そのあたりの正確な経緯は一介の大学院生である僕にわかるはずもなく、想像の範囲内のことであるけれども。
新井先生の強みの一つは幅広い人脈であろう。この授業の担当講師として名を連ねているジャーナリストの赤羽紀元氏、写真評論家として有名な飯沢耕太郎氏はもちろんであるが、それだけではない。写真家の荒木経惟氏、作家の池澤夏樹氏、音楽家の佐野元春氏など、その一部を耳にしただけでも小さなジャンルに縛られない人脈が想像できるだろう。
ところで今回、そんな新井先生の授業に僕は大学のTA(ティーチング・アシスタント)として、授業補助という形で係わらせてもらうことになった。学科からの要請で、授業の様子をビデオで録画するのと出欠席確認などが今のところ主な仕事である。また、手持ちのデジタル・カメラで授業風景を撮影する。これは個人的な記録用である。撮影した写真をこういった形でウェブ上で公開することもあると思う。
いざ教室に行ってみると、ビデオ・カメラの三脚を立てる場所を探すのが大変なほど学生が集まっていた。最終的には立ち見プラス(椅子ではなく床の上への)座り見が出た。初日の授業で、まだ科目登録など終わっていない段階なので様子は今後幾分変わるだろうが、人気の授業の一つであることは間違いないようだ。
新井先生は、まず今年の授業テーマである「旅」について、ご自分の見解を語られた。僕が学部生だった頃よりも、「旅」は学生にとって、より身近なテーマでありキーワードになっているように感じる。学生たちも自分にとっての「旅」はどんな意味を持つのだろうと思いながら先生の話を聴いていたはずだ。僕はふらっと着の身着のままという旅をしたことはなく、その代わり大学を休学して一年間アメリカに留学した。大学院時代のワシントン州立大学への一年間の交換留学生時代も含めて、考えようによっては長い旅と言えるのかもしれない、などと一瞬僕も考えたりした。
次に、「旅」というテーマに絡めて新井先生は、今後どのようなゲストをどういう観点で授業に招こうとしているかということを述べられた。それは、北極から南極を物理的に「旅」している人から、マンガから小説といった形で表現媒体を越境的に「旅」している人物にまで及んだ。(2003.4.17)
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