ワールドカップドイツ大会を振り返る

ワールドカップ・ドイツ大会が終わった。僕は個人技にすぐれた南米勢の大会になるのではないか、と予想していた。具体的には、アルゼンチン対ブラジルの決勝を思い描いていた。

しかしながら、蓋を開けてみればヨーロッパの組織サッカーの優勢が目立った大会になった。1位から4位までヨーロッパ勢だったから圧倒的に、と言っていいだろう。実際、地味に見えた組織サッカーのイタリアがそつなく優勝を手にした。

今日のようにスピードサッカーになってくると、個人の能力の高さだけでは勝ち上がるのが難しいことをわかりやすく見せてくれた大会でもあった。これだけスポーツの市場がクローバル化し、選手の移動や移籍が大陸間・地域間で活発になってくると、個人技の優れた選手はどこかの一国に集中することはないし、それぞれの選手のレベルも昔に比べるとどんどん上がっているだけに差がつきにくい。

 

日本代表に関して言えば、ジーコ監督は個人技を中心にしたゆるい組織のチームを作ろうとしていたが、それは残念ながらうまく機能していなかった。日本の選手の個人の能力は対戦国に引けをとってはいなかったと思う。しかしながら、組織力はことごとく対戦相手の方が上回っていた。同点の結果を得たクロアチアも日本同様組織的ではない雑な戦い方をしていた。

今思えば、前回の日韓共催ワールド・カップの、組織サッカーにとことんこだわったトルシエの采配はストイックだったがしっかり結果を残した。やはり現代サッカーは個人技より組織化・システム化の方向に向かっていることをトルシエは長い監督経験の中で理解していたのだと思う。

中田英寿の引退も発表された。妥当な判断なのではないかと僕は思う。攻めも守りも両方こなす中田のポジションは消耗が大きい。彼のプレースタイルからすると肉体面でぎりぎりのところまで来たのではないかと僕は感じた。

特に、この大会、後半走れていなかったし、今までの中田だったら信じられないようなパスミスやボールの奪われかたが終盤にいくにつれて目についた。 両サイドに出すパスはすべての試合を通して、受け手にとってはかなり厳しいボールばかりだった。「もっと速く走れ」「前のポジションに陣取れ」という中田なりのメッセージだったかもしれないが、現実的に攻撃を組み立てていこうとするパスには思えなかった。ただ、あの強靱でタフなプレイスタイルが見られなくなるというのは正直言って寂しいけれど。

振り返ってみれば、約一ヶ月半のワールドカップは、あっという間であった。4年後は南アフリカ大会。初のアフリカでの開催。アフリカでの暑さを考えると、次の大会も個人技よりもチームの組織力がものを言う大会になりそうだ。

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