『ブログ 世界を変える個人メディア』


ブログ 世界を変える個人メディア
主にジャーナリストとしての立場からブログのインパクトを語った内容だ。

既存のジャーナリズムと新しいテクノロジーとしてのブログがある意味では摩擦や衝突を起こしているさま、逆にジャーナリズムの新しいツールとしてブログのようなテクノロジー、新しいアーキテクチャーを積極的に取り組んでいく二つ動きを広い視点から描き出している。

巨大メディアによるトップダウン型の情報の一方的な情報の流れがブログによって草の根からのボトムアップ型の情報の流れが生み出された。

テレビや新聞などの既存メディアは講演型のメディアであり、ブログは会話もしくは対話型のメディアである。特にブログは不特定多数の人間からのリアルタイムなフィードバックを受け取ることを最も特徴的なアーキテクチャーとしている。コメントやトラックバックがそれで、コンテンツが他者を含めた議論にオープンになっている分、情報交換や意見交換に適したメディアだといえるが、いわゆる荒らしやコメント・スパムやトラックバック・スパムなどの問題も同時に抱えている。

本書の巻末にある朝日新聞記者 服部桂氏の解説はブログ全体に関して簡潔かつ的を射て俯瞰した文章で一読に値する。

特に、メディア史的な視点からブログの位置づけを明確にしている。ブログは電話というメディアであれば携帯電話と同じようなポジションでとらえられる、と言う。かつて電話は公的機関や大企業などの元にしかなかった。それが家庭などのより私的な空間に少しずつ浸透していく。携帯電話に至っては、個人が自由に所有することができ、その用途を自由に選び取ることができる。

HPはかつて大企業や自治体などが一部の団体がほとんど占有していたものだった。HPを制作したり公開することはかつては非常に敷居が高かった。しかしながら、ブログ以後は文字通りだれでも簡単にWEB上になにがしかのページを持つことができ、そのための専門知識もほとんど要求されなくなった。よってどのようなHPを持ち、どのようなコンテンツをページに投げ込み、公開するかという目的や用途は個人のスタンスやアイデア次第ということになった。

本書はそういった新しいメディアを自分の目的のためにうまく使ってやろうという野心的な試みを通して書かれたと言ってもいい。著者ダン・ギルモアは自分のブログに執筆前の段階から本書のアイデアやアウトラインを自分のブログで公開し、フィードバックを呼びかけた。執筆内容を現在進行形で公開すると驚くほどの反響を受けた。内容に賛同の意を示すもの、批判するもの、役立ちそうな情報をリンクしてくれる者。ギルモアはこの試みをオープンソース・ジャーナリズムだと表現しているが、オープンソース・ライティングだと言ってもいいだろう。この試みは、読者による手厳しい批判などでギルモアをがっかりさせたり傷つけたこともあったと言うが、公開しないで書くよりもよっぽど情報が集まってきたし、そのお陰で本書をより正確な内容にすることができたと彼は述べている。その意味で、ギルモアの試みは成功だったと言える。

このようにジャーナリズムにおけるブログのインパクトを真正面から手広く扱っただけでなく、ブログ自体の面白味や魅力もふんだんに紹介する内容になっている。

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