読書と出版

クリエイティブ・コモンズの精神を知る -『FREE CULTURE』-


Free Culture
 ローレンス・レッシグ 著 『FREE CULTURE』(翔泳社、2004年)読了。『FREE CULTURE』はレッシグの『CODE』 、 『コモンズ』に続く三作目の邦訳本。 拡大する著作権の範囲と延長されるその期間が、文化やアイデアの発展や伝播の足枷となりうるのかを具体的に論じている。

ブログを閲覧したり、自分のブログを更新している人ならば、クリエイティブ・コモンズのバナーやライセンス表示を目にしたことがあるだろう。

僕自身もその存在は知っていたが、これまでもクリエイティブ・コモンズのライセンスを自分のブログ上で表示したり非表示にしたりと実に気まぐれなつきあい方をしてきた。それは、このライセンスの背景や具体的な意義がわからなかったからだ。ただ、ずっと気にはなっていた。そして、とうとうこの本を手に取ったわけだ。

レッシグのスタンスは著作権はもちろん尊重するが、身の回りの文化の上に新しい作品を構築したり、それをまったく別個のものにするような創造性を阻害するが著作権の過度な強化や中央集権化には反対といったものである。それは文化の発展の障害となり、停滞をもたらす。

こういった考えを持ったレッシグは、アメリカ議会が無制限に著作権の延長を行っている現状に関するおかしな状況に一矢を報いるつもりで実際の裁判の弁護人をかって出るが、敗訴してしてしまう。 ここから学び取ったことも多かったが、メインストリームの法廷の場で決着をつけることはできなかった。

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そこで、オルタナティヴ(非主流)なやり方で、この問題にアプローチしようという試みがクリエイティブ・コモンズである。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、オリジナル・コンテンツの著者や制作者が、それを第三者が、二次利用するなり、拝借するなり、カット・アンド・ミックスするさいに、どのような形と範囲で創造的な活動の足がかりにしていいかを明示する。つまり、そのライセンスが定める範囲内なら、自由に創造性を発揮していいことになり、そうすることで文化・知識・芸術性などの発展や活性化をしないようにするという試みなのである。

レッシグの主張やクリエイティブ・コモンズの理念には大いに賛同できるので、このブログのライセンス表示も近々ONにすることにしよう。

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