ストーリー思考

ストーリーでプロジェクト推進力をアップ

先日、少し動きが遅く、停滞気味のプロジェクトが あったのでストーリーの力を活用してみました。

その時のことをお伝えしたいと思います。

■ プロジェクト停滞の要因

ああしよう、こうしようとプロジェクトについてメンバー間で話し合っていてもプロジェクトそのものがなかなか進まない場合があります。

その背景に、参加メンバーそれぞれ立場によって、関心を寄せるポイントが異なることがあります。

財務担当者ならコスト面を重視するでしょう。広報担当者は会社の外の関係者からそのプロジェクトがどう受け取られるか、ということを考えています。

photo credit: mnadi via photopin cc

 

実施に直接関わるメンバーは、それがいつ、どのタイミングで実現可能か、段取りをする上で何が必要か、と思いをめぐらせています。

つまり関心を持つポイントはそれぞれ微妙に違っているのですね。

それぞれが自分の立場から思い思いのイメージを持っていてる状態で、そのポイント同士がつながった線になっていない。それゆえ、全体としての絵をメンバー間で共有できていない状態。

 

■ 点を線にしてストーリー化する

たまたま私が関わっていたプロジェクトの一つがそういった状態にありました。会議で何度か話し合って漠然としたイメージを共有しているものの、それ以上でもそれ以下でもない。 そこで、このプロジェクトのポイントをつなぎこみ、一つの線にしてストーリー化しメンバー間で共通の絵を持てるようにしようと私はふと思いたちました。

このプロジェクトは会社の外部から関係者を招いて実施するイベント的なもの。 そこで、そのイベントの目的やねらい、開催概要、ターゲットとする関係者が参加することで得られるベネフィットなどを盛りこみプレスリリースの形式をとりつつも関係者に呼びかける形でA4用紙一枚に収まるストーリーをつくりました。

 

photo credit: ouyea… via photopin cc

 

そうして完成したものを「自分の頭の整理したいと思いプロジェクト全体の流れをイメージしてみました」と一言添えてプロジェクト関係者にメールで転送しました。

すると、次のようなプロジェクト関係者からすぐにメール返信がありました。

「ああ、いいですね、この流れで行きましょう」といった簡単な反応もあれば、 「日程的には他の○○○○というイベントと重なるから同じ月の後半に移した方がよさそうですね」という具体的なものもありました。 また、私のデスクまでやってきて「別のステイクホルダーと別のベネフィットを盛り込んだシナリオBも作ってもらっていいですか」という具体的な依頼もありました。

これで、このプロジェクトは実現に向けて加速しそうだ、という実感が私の中でわいてきました。 つまり、ストーリーの持つイメージ共有の力がプロジェクト推進の大きな原動力の一つになったのです。

 

■ 実践のポイント

こうしたプロジェクト共有のストーリーをつくるポイントとしては、スキのないガチガチなプランや詳細を詰めこむことは避けましょう。 あまりしっかりとしたものを作り上げてしまうと「あいつがプロジェクトの隅から隅まで全部コントロールしようとしている」などと周囲から反感を招きかねません。

むしろ、あまり気負わず、あくまで全体の6~7割のイメージのたたき台を作るという感覚を大切にしてほしいと思います。残りの3~4割は他のメンバーに肉づけしてもらうような意識でいましょう。 実際にメンバー間であなたのストーリーを揉んでもらい、肉づけしてもらった方が、メンバーの当事者意識やモチベーションのアップにつながるはずです。

したがって「実施シナリオを作ったのでぜひ、これでいきましょう!」というよりは、 「頭の整理のため、自分なりに流れをイメージしてみたので、意見やフィードバックをお願いします」といった形が望ましいと思います。

チームで取り組んでいるプロジェクトのスピードが上がらない、メンバー間のイメージ共有が弱い、そんな状況にあなたが遭遇したとき、ぜひストーリーの力を活用してみてください!

ピックアップ記事

  1. 日常のコミュニケーションにストーリーを!
  2. 相手にアクションを求めるなら「失敗談」と「成功談」をセットにしたストーリーを伝え…
  3. ストーリーは「心」を動かすための演出
  4. One Book, Three Points, One Actionから始めよう…

関連記事

  1. ストーリー思考

    完全無欠のヒーローの自慢話なんか誰も聞きたくない

    あなたも人間なので苦手なことやコンプレックス、思い出したくない失敗、恥…

  2. ストーリー思考

    仕事に生かすストーリー思考

    はじめにかつて企業内記者のようにあちこち取材して回った時期がありま…

  3. ストーリー思考

    WebマガジンCAZANAで連載スタートしました!

    次世代サラリーマンたちの働く未来を考えるWebマガジンCAZANAで連…

  4. ストーリー思考

    ワークショップ「マインドマップとストーリー思考のススメ」神戸芸術工科大学大学院にて

    2012年7月21日(土) 神戸芸術工科大学大学院にて「マインドマップ…

  5. ストーリー思考

    なぜ私たちは勧善懲悪の世界に飽きないのか?

    ストーリーの世界に勧善懲悪はつきものです。 (さらに…)…

  6. ストーリー思考

    あなたは自分のバックストーリーを知っていますか?

      バックストーリーとは何でしょうか? それは、わたしたちの無意識下に…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

アーカイブ

  1. 日記

    専門と周辺領域のはざまにあるブレイクスルーのタネ
  2. ライフハック

    オンライン・タスクリストTeuxDeux
  3. 映画・写真・音楽

    「コーチ・カーター」  コンセプトの重要性を再認識させられる作品
  4. ライフハック

    聞き手の集中力を維持できそうなプレゼン手法
  5. 広報・PR

    マンツーマン・ビジネスセミナー
PAGE TOP