先日、少し動きが遅く、停滞気味のプロジェクトが あったのでストーリーの力を活用してみました。
その時のことをお伝えしたいと思います。
■ プロジェクト停滞の要因
ああしよう、こうしようとプロジェクトについてメンバー間で話し合っていてもプロジェクトそのものがなかなか進まない場合があります。
その背景に、参加メンバーそれぞれ立場によって、関心を寄せるポイントが異なることがあります。
財務担当者ならコスト面を重視するでしょう。広報担当者は会社の外の関係者からそのプロジェクトがどう受け取られるか、ということを考えています。
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実施に直接関わるメンバーは、それがいつ、どのタイミングで実現可能か、段取りをする上で何が必要か、と思いをめぐらせています。
つまり関心を持つポイントはそれぞれ微妙に違っているのですね。
それぞれが自分の立場から思い思いのイメージを持っていてる状態で、そのポイント同士がつながった線になっていない。それゆえ、全体としての絵をメンバー間で共有できていない状態。
■ 点を線にしてストーリー化する
たまたま私が関わっていたプロジェクトの一つがそういった状態にありました。会議で何度か話し合って漠然としたイメージを共有しているものの、それ以上でもそれ以下でもない。 そこで、このプロジェクトのポイントをつなぎこみ、一つの線にしてストーリー化しメンバー間で共通の絵を持てるようにしようと私はふと思いたちました。
このプロジェクトは会社の外部から関係者を招いて実施するイベント的なもの。 そこで、そのイベントの目的やねらい、開催概要、ターゲットとする関係者が参加することで得られるベネフィットなどを盛りこみプレスリリースの形式をとりつつも関係者に呼びかける形でA4用紙一枚に収まるストーリーをつくりました。
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そうして完成したものを「自分の頭の整理したいと思いプロジェクト全体の流れをイメージしてみました」と一言添えてプロジェクト関係者にメールで転送しました。
すると、次のようなプロジェクト関係者からすぐにメール返信がありました。
「ああ、いいですね、この流れで行きましょう」といった簡単な反応もあれば、 「日程的には他の○○○○というイベントと重なるから同じ月の後半に移した方がよさそうですね」という具体的なものもありました。 また、私のデスクまでやってきて「別のステイクホルダーと別のベネフィットを盛り込んだシナリオBも作ってもらっていいですか」という具体的な依頼もありました。
これで、このプロジェクトは実現に向けて加速しそうだ、という実感が私の中でわいてきました。 つまり、ストーリーの持つイメージ共有の力がプロジェクト推進の大きな原動力の一つになったのです。
■ 実践のポイント
こうしたプロジェクト共有のストーリーをつくるポイントとしては、スキのないガチガチなプランや詳細を詰めこむことは避けましょう。 あまりしっかりとしたものを作り上げてしまうと「あいつがプロジェクトの隅から隅まで全部コントロールしようとしている」などと周囲から反感を招きかねません。
むしろ、あまり気負わず、あくまで全体の6~7割のイメージのたたき台を作るという感覚を大切にしてほしいと思います。残りの3~4割は他のメンバーに肉づけしてもらうような意識でいましょう。 実際にメンバー間であなたのストーリーを揉んでもらい、肉づけしてもらった方が、メンバーの当事者意識やモチベーションのアップにつながるはずです。
したがって「実施シナリオを作ったのでぜひ、これでいきましょう!」というよりは、 「頭の整理のため、自分なりに流れをイメージしてみたので、意見やフィードバックをお願いします」といった形が望ましいと思います。
チームで取り組んでいるプロジェクトのスピードが上がらない、メンバー間のイメージ共有が弱い、そんな状況にあなたが遭遇したとき、ぜひストーリーの力を活用してみてください!
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