ジョン・A. ウォーカーほか著『ヴィジュアル・カルチャー入門』(岸 文和ほか訳、晃洋書房、2001)を読んだ。
秋以降、留学予定の大学院のカリキュラムにvisual cultureというモジュールが二つある。必修ではないのだが、気になっていた。そこで購入したのがこの本である。
この本の著者の一人によれば、ここで議論の対象となっているヴィジュアル・カルチャーとは、伝統的な美術史などで対象とされてこなかった芸術・映像文化のことなのだそうだ。
たとえば、インダストリアル・デザイン専攻の学生が旧来の美術史を学ぶのは大いに結構だが、実際には近現代のデザイン史を学ぶ方がより専攻へのフィードバックが期待できる。しかし、そういった領域を教えられる教師はまだまだ少ない。その意味で、ヴィジュアル・カルチャーは、伝統的な美術史に収まらない芸術・映像文化の専門家を育てる期待も負っているそうだ。
明らかにこの本は大学の教科書として書かれている。かなり網羅的な内容になっており、全体的に浅く広い議論になっている。僕のような初学者には、親切な内容になっているが、ある程度この分野に首を突っ込んでいる人には退屈に思える内容かもしれない、と感じた。
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