はじめに
前回のエントリー、なぜ退屈でつまらない企業ホームページばかりなのか?の続きです。
それでは、実際にどんなコンテンツを追加・充実すべきなのでしょうか。
それは、物語性のあるコンテンツです。
物語の力
第一に、物語には「興味・関心を喚起する効果」があります。自ら「読んでみよう」という気持ちにさせるのです。
第二に、物語には「感情訴求効果」があります。感情移入や共感につなげやすいのです。感情を揺さぶる情報は、長期記憶に残りやすいというメリットもあります。読んだだけでなく、より長い間気にかけてもらえるのです。
第三に、「行動誘発効果」があります。とりわけ有名なのは、登場人物の真似に走らせる効果でしょう。
ヤクザ映画を見た後、急に肩で風を切ってがに股で歩くようになったり、漫画「キャプテン翼」を読んだ小学生がオーバーヘッドキックの練習に熱中したり……
『トップガン』『マトリックス』で主人公が身につけていたサングラスが急に売れたり……
このあたりのことを理解していると、たとえばリクルート・ページに対する工夫や取り組みも明らかになってきます。
生き生きと楽しそうに働き、成長を実感しているスタッフの声や写真を紹介することに力を入れるのです。
そうすると同じ現場で、楽しく働き、自分も成長してみたいという気持ちを読み手の中に育て、実際に応募してみようという気持ちにもつなげていくことができます。
阿久澤が遭遇したベスト・プラクティス
そういえば、とある会社を訪問し、エントランス近くのイスに腰掛けて担当者を待っていたとき、興味深いものにしばし目を奪われました。
エントランス近くの壁に35インチの液晶ディスプレイが埋めこんであって、映像が流されており、私の座っていた位置からもよくみえるようになっていたのです。
次々と社員の笑顔や仕事風景の写真が現れては消えていくというものです。
さらに、手書きで書かれた個々の社員のメッセージが彼らの上に重なって映し出されていました。
メッセージの内容は次のようなものでした。
・自分が会社で成長を実感したこと
・達成したこと
・働く喜び
・課題や目標
手書きのため、読みにくいものもありましたが、私はすべて目を通してしまいました。
この映像には、少なくとも3つの効果が考えられます。
第一に、社員のモチベーションアップ。この映像の中で、すべての社員が短い間、数秒かもしれませんが主人公になっているのです。
会社という物語の中で、自分が主人公となって働いていることを実感できるわけです。モチベーションアップにつながらないわけがありません。
第二に、リクルート効果。応募者が面接や試験を待っている間にも、会社の魅力をプレゼンテーションすることになります。この映像を見て、この会社で働けばああいった先輩同様、会社に貢献しながら、自分も成長できる、と思わせることができます。人材確保に大きな力となると感じました。
第三に、社外の人に一緒に仕事をしてみたいという気持ちにさせる効果。
一人一人がこれだけ熱心にがんばっている会社なら信頼できそうだ、仕事を任せてみたいと思わせる効果があると感じました。
物語性を持たせることで社内だけでなく、社外の人間でさえコミットしたくなるような仕掛けをこの映像は持っていたのです。
おわりに
あなたのビジネスにおいても、物語の力によって、目の前の局面を打開できる状況があるかもしれません。
こうした物語の視点を活用することでプラスの変化を起こせる領域が存在しないか、あなたのビジネスや生活全体を一度見渡してみませんか?
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