考えをそのまま言葉にして相手に伝えて、うまくいく場合とそうでない場合があります。同じ内容でも表現の仕方や順番によって、ものすごく効果がある場合もあれば、まったく逆の場合もあります。
たとえば、あなたが部下にいわゆるホウレンソウ(報告・連絡・相談)をこまめにしてほしいと思い、以下のように言ったとします。
[adsense]■ダイレクトに言いたいことを伝える
「○○さん、何かトラブルがあった場合、私の方でサポートできるよう今後、ホウレンソウをこまめにするよう注意してください」
あなたは自分が思ったところをストレートに部下に注意しました。ただし、あなたが言及した「トラブル」について部下が具体的にイメージできない場合、次のように解釈され、ちょっとした気持ちのすれ違いが起こりかねません。
・今まで一度もホウレンソウなんて口にしなかったのに急にどうしたのかな?→不信感
・もしかすると虫の居所が悪くて、オレにあたりたかったのかな??→被害者意識
・まあ、ともかく、うるさく言われるのはいやだから、今後はホウレンソウをこまめにやるとするか→やらされ感
思ったことをダイレクトに伝えた方が、誤解もすれ違いもなく効果的な場合ももちろんあります。しかしながら、ダイレクトに用件やメッセージを伝えることで相手のプライドを傷つけたり、自己重要感を損なった結果、あなたの用件やメッセージを素直に受け止めてもらえない、形として耳を貸しただけ、に終わるケースも少なくありません。こればかりは相手の性格や置かれている立場によるかもしれません。
それでは、用件をストレートに伝えると、どちらかといえば傷ついて、萎縮し、かえって動けなくなりそうな部下が相手だったらどうでしょうか。
■シュガーコーティングして伝える
そうした場合、あなたが過去にホウレンソウを怠ったことで、実際に痛い目にあったという仕事上のエピソード(ストーリー)を紹介してみてはいかがでしょうか。部下の受け取り方はずいぶん違ったものになるのではないでしょうか。
なぜなら、あなたは自分のメッセージを「シュガーコーティング」して相手に受け入れやすいように工夫したからです。「シュガーコーティング」とは、飲みにくい薬を、効き目はそのまま、甘い包み紙で包んで飲みやすくすること。
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相手にとって耳の痛い話や注意を伝えるときこそ、ストーリーを使って相手が受け入れやすい形にシュガーコーティングすることであなたのメッセージはより伝わりやすくなります。
■シュガーコーティングの効果
今回の例でも、単に部下を注意するのではなく、あなた自身の失敗ストーリーを事例として共有することで、部下はどういった場面でホウレンソウをしないとまずいのか、どういった場面でそれが必要なのかを自ら学ぶことができます。それを自分のことに置き換え、今後どんな場面でホウレンソウを行う必要があるかについてイメージを巡らせることができます。
はじめのアプローチの仕方だと説教され、強制されたという印象になりがちです。一方、後のアプローチだと、過去の個人的な失敗経験を共有してくれたことに、部下は感謝さえするのではないでしょうか。
説教の中でいわば押しつけられた教えと、あなたのストーリーを通して部下が自ら学んだ教訓では、取り組み姿勢にも大きな違いが出るはずです。
■おわりに
特に相手にとって耳の痛い内容の場合は、意見やメッセージをダイレクトに伝えるだけでなく、ストーリーを用いてシュガーコーティングする工夫をしてみると、相手が素直に自発的に動いてくれる可能性をアップさせることができるかもしれません。
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