【連載 第2回】 AKBとディズニーに共通点!? ストーリーがもたらした驚きの成功例3つ

2013.05.11akb

一度理解すれば誰でもすぐ活用でき、ビジネスと人生を成功に導く「ストーリー思考」。とはいえ、やはり具体的な事例がないと「ストーリーのもたらすパワーがすごい!」といわれてもピンときませんよね。そこで今回は、ストーリーがあなたの人生にもたらすレバレッジ効果について、3つの成功例を使って紹介してみたいと思います。

■遊園地 +「ストーリー」=1人勝ち

遊園地。エンターテイメント産業の主役として高度成長期にたくさん作られましたが、バブルが崩壊し経済成長に陰りが見え始めた時期に、どんどん閉園していきました。

しかし、そこにストーリーをプラスすることで、他の遊園地と差別化どころか圧倒的な成功をおさめている施設があります。言うまでもなく、1983年に開演した「東京ディズニーランド」ですね。

従来の遊園地は、メリーゴーランドの後は観覧車に乗って…といった具合に、いろんなアトラクションを楽しむだけの場所でした。

しかし、ディズニーランドのアトラクションは、それぞれがおとぎ話や、最近では映画のストーリーをコンセプトとして作られています。それを通して、日常では味わうことのできない非日常のファンタジックな世界に参加するという、特別な経験価値を来園者に提供する空間となっているのです。

ディズニーランドが教えてくれた「お客様を大切に想う気持ち」―心の奥を優しく揺さぶるサービスって、こういうことなんだ!

子供だけでなく大人も昔自分が親しんだ物語世界を懐かしく思い出したり、物語の内容や意味について子供とコミュニケーションがとれたりと、従来の遊園地にはなかった子供と大人が一緒に楽しめる空間になっているのです。ディズニーランドのケースは、ストーリーを活用することで大きな付加価値を生み出した、最も顕著な例の一つと言っていいでしょう。

2013.05.11thempark

 

■サーカス +「ストーリー」=1人勝ち

遊園地と同じように、かつて世界中で子供たちに人気だったサーカスも、今日では衰退産業になっています。サーカス小屋で実際にサーカスを見たという経験をしている若者は今や希少な存在になっています。

従来のサーカス小屋で繰り広げられていた曲芸は、それぞれ目を見張るものがありますが、その曲芸同士の関係性を見出だすのは難しいものでした。見終わった後で「熊の曲芸よかったね」「私は空中ブランコがいちばんドキドキしたなあ」などとそれぞれ印象に残ったところについて、感想を述べ合うくらいしかできませんでした。

そうした状況に革命を起こしたのが「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。

シルク・ドゥ・ソレイユは、曲芸ではなく、あくまでストーリーを軸にサーカスの世界を構成し直しました。ストーリーの展開にあわせてサーカスの曲芸だけでなく歌や音楽を加え、大人向けの芸術的エンターテイメントを形にしたのです。

従来のサーカスは子供の向けのものでしたが、大人向けになると、もちろん客単価も上がります。ストーリーに感動した人はそれをクチコミし、新しい観客を連れてきます。そうしたこともあり、「シルク・ドゥ・ソレイユ」はストーリーを採用することで、これまでのサーカスの歴史、少なくとも興業収入の記録を塗り替えたのです。

2013.05.11circus

■ご当地アイドル +「ストーリー」=1人勝ち

また、あのAKB48も、かつては秋葉原の劇場を拠点とする「ご当地アイドル」の一つでしかありませんでした。

メンバーの数もインパクトがあり、気軽に会うことのできる身近なアイドルというコンセプトで一部の熱狂的なファンを獲得し、話題にはなっていたものの、いろいろと苦戦していた時期もあったようです。

そんな彼女たちの存在に一気に注目が集まるきっかけとなったのが「総選挙」というイベントでした。AKB48の商品を購入したファンには選挙権が与えられ、自分のお気に入りのメンバーに投票できます。その投票結果が、たとえばセンターのポジションなどに直接反映されるわけです。

 

AKB48の戦略! 秋元康の仕事術 (田原総一朗責任編集)

この「総選挙」の仕組み、優れたマーケティング手法ともいえますが、それよりも「ご当地アイドル」に「ストーリー」をプラスしたからこそ、人々の圧倒的な注目を集めることに成功したのだと私は見ています。

選挙形式にして、メンバーが順位を競い合う形にすることで、人々はそのメンバー同士が単なる仲良しグループではなく、競争相手であり緊張関係にあることを理解します。

選挙はいわば先行きのわからないドラマであり、その勝敗や結果にマスコミも注目するようになります。

かつてテレビでアイドルのオーディション番組があり、視聴者が熱狂したものですが、AKB48の場合メンバー数が多いこともあり、どんな結果になるのか予想しにくいことも、マスコミや人々の関心を引きつける大きな材料になっているのではないでしょうか。

いかがでしょうか。このように具体的に見ることで、ストーリーの活用がビジネスに大きなプラスのインパクトをもたらす可能性を確認していただけたと思います。

今回はマクロな視点で、ストーリーがもたらすビジネスへのインパクトを見てきましたが、次回からはあなたの身近なビジネスシーンで使えるストーリーの活用法についてお伝えしていきます。ご期待ください。

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